「売れない貸せない」郊外ベッドタウンの空き家が深刻

深刻化する空き家問題。いったん所有すると放置するわけにもいかない。固定資産税、保険料、管理費……など、すべてが「負動産」化してしまう恐れがある。長嶋修・さくら事務所会長のリポートをお届けします。

◇駅から徒歩7分以内でないと…

圧倒的な住宅不足だった戦後の高度経済成長期。東京のビジネス中心部である大手町、丸の内、新宿、渋谷など山手線沿線から30~40キロ、ドア・ツー・ドアで1時間~1時間半といった都市郊外のいわゆる「ベッドタウン」では、主に1970年代以降大量の宅地開発が行われた。一斉に入居したのは47~49年生まれの団塊世代を中心とした人口ボリュームゾーン。当時は「夫婦に子ども2人」の典型的な核家族形態が主流だった。

あの時代からおよそ50年が経過し、駅前や駅近など利便性の高いエリアを除く地域では、建物の老朽化とともに入居者も高齢化した。昨今の住宅に求められるのは圧倒的に「都心」「駅前」「駅近」。住宅数の飽和に伴う空き家の増加や「自動車保有比率の低下」「共働き世帯の増加」といった現象がこの傾向を後押しする。賃貸、持ち家とも昨今求められるのは「駅徒歩7分以内」の立地だ。

立地に難のあるベッドタウンでは、子どもたちはすでに独立して家を離れ、都心部・都市部の利便性が高いエリアに居住している。残された広い土地と古ぼけた建物には、70~80代の老夫婦ないしは1人暮らしの高齢者が居住している。

◇地価が10年で10分の1に

筆者は今年4月、関東地方の郊外で70年代に開発された、ある分譲地を訪れた。最寄り駅から徒歩30分の立地で、バス便は日中、1時間に2本程度。総世帯数600程度の住宅地は、筆者が調べた範囲では空き家数は50戸程度、空き家率は8%程度だった。日中の人影は少なく、時おり高齢者を見かけるのみであり、子どもの姿はなかった。地元の住民に聞けば、居住中の住宅には70代後半~80代の2人暮らし、ないしは単身者が多く住んでいるようだ。

この分譲地の取引履歴を調べると、10年前には土地の坪単価(約3.3平方メートル当たり)15万円前後で取引されていたが、昨年は1.5万円。古屋が取り壊されて更地となっているところもわずかに見られたが、多くは空き家として放置されている。建物は傷み、庭には雑草が生い茂る。入居者がいるにもかかわらず、屋根や外壁が荒れ果てていたり庭の管理ができていなかったりする建物も見受けられた。

こうした空き家がこれから5年、10年するうちに如実に増加し、街の景観はますます荒れ、売ることも貸すことも困難になる未来が見える。

◇解体するにも坪4万~5万円

空き家の保有にはコストがかかる。まずは、一般的な宅地では、市町村税の固定資産税、都市計画税が土地・家屋合わせて年5万~6万円かかる。売れないような土地でも固定資産税がゼロになることはなく、家屋の固定資産税評価額はどんなに築年数が経過しても新築時の2割未満に下がることはない。万一のため火災保険に加入すれば、最もシンプルなもので1万円(期間1年)から5万円(期間5年)程度かかる。

家屋や敷地の手入れが不十分だと、周囲の環境を悪化させる。動物がすみ着いたり、不審者が侵入したりするほか、放火される危険もある。2015年2月に施行された空き家対策特別措置法では、市町村が倒壊などの危険がある空き家を「特定空き家」に指定すると、固定資産税評価額を6分の1とする「住宅用地の特例」から外れ、固定資産税負担が大幅に増大する。管理のためには月に1回程度、現地に赴く必要があるが、こうした労力を払えない場合は、現地の不動産業者などが提供する空き家管理サービスなどを利用すると月1万円程度かかる。

建物を解体するには、木造住宅で現在、坪当たり4万~5万円、軽量鉄骨造の建物で5万~7万円程度が相場だ。40坪の木造なら160万~200万円かかる。問題はこの更地をどうするかだが、30~40代の住宅取得層が購入するとは考えにくい場合は、近隣住民などに引き取ってもらうしかない。近隣住民が駐車場や畑などで利用したいと考えても、売買額はわずかなものだろう。

◇マンションはさらに深刻

マンションの場合は、あくまで共同住宅であるため、問題はさらに複雑だ。マンションの空き家を所有すると、管理費や修繕積立金の負担も生じる。また、マンション全体で見れば、マンション内の空き家が増加するほど、管理費や修繕積立金の徴収が難しくなる。清掃など満足のいく管理はもちろん、建物の修繕もおぼつかなくなり、住民が退去してさらに空き家が増える悪循環に陥る。

こうした事態に対し、空き家対策特別措置法の適用対象は主に一戸建てを想定しており、共同住宅に適用されたケースはごくまれだ。空き家が「売れない」「貸せない」となると、固定資産税をはじめとするコストを支払い続けるしかなく、文字通り「負動産」を抱えることになる。

本格的な人口・世帯数減少はこれから始まる。地方では現在、数百万円かけて古屋を解体し、隣地の所有者にタダで土地を引き取ってもらうといった実質的な「マイナス価格取引」が行われている。国土交通省が年1回公表する地価公示の価格はあてにならない。とあるベッドタウンの地価公示では、坪単価が約15万円とされたが、実際の取引は5万円に満たなかった。現実には、成約にすら至らない土地も複数存在する。

こうした事態に際し、国はまだ有効な解決策を見いだせていない。少子化・高齢化と人口減少といった事態が本格化する未来を見据え、立地に難のある空き家を抱えたら、自分や親族が後に利用する予定がない限り、可能な限り早期の処分を勧めたい。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190704-00000014-mai-bus_all (Yahoo!ニュースより引用)

 

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