万引き防止に「顔認証」 渋谷3書店共有へ 入店でアラームも

大手書店「丸善ジュンク堂」など3書店は28日、東京・渋谷の店舗で、防犯カメラで撮影した万引きしたとみられる人物の画像を7月30日から共有すると発表した。画像を各店舗の顔認証システムに登録し、該当者が来店すると警備員らが警戒を強め、万引き被害を未然に防ぐのが狙い。犯罪が疑われる人の顔が映るデータは高度な個人情報となるが、書店側は「管理を徹底する」と理解を求めた。

政府の個人情報保護委員会によると、民間企業が防犯カメラの画像を他社と共有するのは初めてとみられる。

他に参加するのは、「啓文堂書店」と「大盛堂書店」。丸善は以前から顔認証を導入しているが、万引きは一般的に同一地域で同時に被害が出るケースが多く、1社での対応は限界があったという。

新システムでは、7月30日以降に現行犯で逮捕された人や、被害後に防犯カメラから盗んだことが確実と見込まれる人の顔画像や特徴、日時や被害状況を共有する。氏名は記録しない。各店舗は顔認証システムを使い、こうした人が入店した時にアラームが鳴るようにする。

個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供するには事前に利用目的をあらかじめ公表することなどを定めており、各店舗は店頭などで情報の共有を告知する。また、苦情などは今回の構想を主導したNPO法人「全国万引犯罪防止機構」(東京)で受け付ける。一定期間が経過した後は削除するという。

背景には万引き被害に悩む書店業界の苦境がある。3店舗では年間計100人程度の万引きが疑われる人物が確認されているといい、啓文堂の小幡道宏相談役は「営業利益が売り上げの1%程度の時に、万引き被害が1%近いこともあった。経営に与える影響は極めて大きい」と訴える。

日本出版インフラセンターの2008年の調査では、万引きの被害額は年間261億円に上ると推計されている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190628-00000088-mai-soci

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