年収180万円の若者が「年金300万円の老人」を支える日本の絶望

毎月15万円もらって毎日生きがいのない生活を送る

お金に関するニュースが世の中をにぎわせています。最近話題になったふたつの騒動は、どちらも表面的には解決しましたが、深層部分では大きな問題を残したままになっています。今回はこの深層部分にまでおりたうえで、問題の解決案について考えてみたいと思います。

ひとつめの騒動は、阪急電鉄が企画した「はたらく言葉たち」の広告の中のひとつのメッセージがSNS上で炎上したというニュースです。

問題になったのは、

「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか」

という80代の研究員の方の言葉です。

この企画は、企業ブランディングを手がけるパラドックス社が働く人たちへのヒアリングをする中で出てきた、たくさんの言葉の中のひとつです。80代の会社員(ひょっとすると元会社員かもしれませんが)の方がおっしゃったこの言葉は、その方が社会人として過ごしてきた時代背景を考えると、そのような言葉が出た気持ちはわかります。

しかし、この言葉はネット上では大きく炎上しました。現代の労働事情からすればまったく共感ができないというのです。それはそうでしょう。フリーターとして働く若者の視点で見れば「毎月15万円もらって毎日生きがいのない生活を送る」という選択肢しかないわけで、「30万円で仕事に行くのが楽しみで仕方ないという生活」が存在するのであれば誰だってそっちを選ぶだろうという反応です。

批判を受けて阪急電鉄は謝罪とともにこの広告企画を取り下げました。表面的にはこれで問題解決です。

しかし、あくまでそれは表面的なものであって、深層ではなにも解決していません。
年収180万円の若者が「年金300万円の老人」を支える日本の絶望

生活保護より少ない稼ぎしかない

さて実際、昭和の時代に大企業に就職して逃げ切った世代の高齢者は、この80代の方と同じような人生を現在進行形で歩んでいます。とりわけ企業年金が充実している有名企業のOBの場合は、年金だけで50万円を手にしている人も珍しくはありません。

そのような大手企業で、逃げ切り世代が50代後半から60代で「このまま定年まで会社に居座って50万円もらい続けるか、早期退職をして30万円の仕事につくか」の選択に迫られることも現在進行形でおきていることです。

なぜ若者には与えられないそのような機会が逃げ切り世代にはあるのかというと、昭和の大企業のビジネスパーソンはそれだけ会社から投資をしてもらいビジネススキルを貯め、業界知識や専門知識を持ち、人脈も豊富で、転職先から見ればトレーニングを受けてこなかった若者よりも戦力になる場合があるからです。

つまり、深層部分で問題になっているのは世代間の機会にかかわる不公平についての問題なのです。

逃げ切り世代は高い教育投資と、ゆとりのある職場環境と、豊かな社会保障を享受している。しかし、それを支える働く世代は引退世代が受ける年金や、場合によっては生活保護よりも少ない稼ぎの機会しかない。この問題は若い世代ほど深刻に捉える問題であり、その問題に無頓着な高齢世代との摩擦が起こりはじめているのです。

私は今年『格差と階級の未来』という本の中で、これからの格差社会がどう進行するのかについての問題提起を行いました。その一番のポイントは、これから先、ITや人工知能の進化に伴って今以上に正社員の仕事が失われ、非正規労働者の仕事ばかりが増えていくだろうということです。

アメリカではITにサポートされてマニュアルどおりにこなせばいい仕事のことをマックジョブと呼びます。職場に配置された初日からでもハイテク機器の指示通りにこなしていくと一定レベルの仕事ができる、そのような仕事は年々増えています。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190705-00065597-gendaibiz-bus_all(Yahoo!ニュースより引用)

 

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